内観パースについて
内観パースとは、住宅の内部となる間取りであったり、各部屋ごとの室内を、まるでその住宅の中にいるようなイメージをしながら作成をするパースのことです。住宅の内部のインテリアや内装、家具に至るまでの分かる内観パースを作成することによって、まだ実際には完成していない住宅の完成予想を、容易にイメージしやすくなります。
インテリア業界のプロフェッショナルであれば、平面図を見ただけであっても、その住宅の内部までイメージすることが可能ではありますが、実際にその住宅が完成したときにそこに住んだりする施主側としては、そうした知識を持ちませんので、簡単な間取り図のみからの完成予想のイメージをすることは、あまり現実的ではありません。そのため、内観パースを活用し、綿密に作成された奥行き感のある表現により、その場にいるかのようにイメージすることができるようになるのです。
内観パースを作成するメリット
内観パースを作成することのメリットとして、主に下記の3つが挙げられます。
①費用の削減とリスクの削減
②順調な打ち合わせ
③デザインの再現性の高さ
住宅の完成予想のイメージを、内観パースを利用して行うことによって、大幅な費用の削減を達成することができます。CGパースを利用すれば、デザインの決定までもが早まりますので、納期の遅延防止の意味でも効果的です。また、パソコンを使用しての内観パース作成には、専用のソフトを使用しますので、短い納期でパースを完成することが可能であって、それにより、住宅が完成した後の施主とのトラブルも未然に防ぐことができます。
打ち合わせには、本来多くの時間がかかるように思われますが、内観パースを活用すれば、完成までのイメージを掴みやすくなることから、施主の不安も解消され、打ち合わせもテンポ良く進んでいきます。その他に、価格設定を明確にしておくことも重要です。そうしておくことで、金銭的トラブルにも見舞われる心配がありません。
デザインの再現性においては、色や形状、パターンなどを変更することができるので、イメージの浮かびづらい施主に対して、幅広いパターンの提供も可能となります。内観パースを活用すれば、家具やライトなども、完成へのイメージに近づけることができて、多方面の場面から検討することが出来、それらのイメージを持たせるだけでなく、設計段階で利用する検討材料の提供も、行うことができるわけです。
内観パースが使用される場面
内観パースが使用される場面には、主に下記の6つが挙げられます。
①不動産における場面
②インテリアにおける場面
③プロダクトデザインにおける場面
④都市計画における場面
⑤ファッションにおける場面
⑥書籍や広告における場面
不動産におけるシチュエーションでは、物件の紹介の際に必要であったり、内観パースを見直しながら話し合うことによって、予算や完成のためのイメージといった内容をしっかりと確認することが出来、お客様の細かなリクエストまで聞くことが可能できます。また、モデルルームなどでも頻繁に使用されています。インテリアでの場面には、建築会社の思うイメージと、施主の持つイメージとの間に相違が発生していないかということの把握であったり、それらの改善策を示す上でも、内観パースはとても重要であります。
プロダクトデザインに関するシチュエーションでは、木材やガラス、金属等の器物に必要ですが、近年、プラスチック等の材料を使用したデザイン分野への広がりもあり、都市計画においてのシチュエーションでは、その都市全体の計画や、地区などといった視点からの取り組みも活発です。そこに住む住人の生活に必要不可欠な道路や公園といった場所の整備やマナーなど、住人との意思の疎通をを取りながら、全体的にまとめていく上で、内観パースを活用してのイメージの伝達は、欠かすことができません。
ファッションにおけるシチュエーションでは、平面的な要素だけではなく、立体的な表現を行うことにより、実際の形などのイメージがしやすいとされています。このように、内観パースは実に色々な場面に応じて使用されていて、大変多くのシチュエーションで必要とされています。書籍や広告における場面では、空間の中での動作表現が大切であるとされており、それらの背景がなければ、シーンごとのイメージも、伝わりづらいため、より立体的な背景を描く必要があると言うことができます。
内観パースで抑えるべきポイント
ここでは、照明器具や家具の配置をした間取りを具体例として、内観パースで抑える必要のあるポイント5つを、詳しく解説していきます。
①画角と垂直を意識した視点の登録
②不必要なライトの消灯
③照明器具のライトをデフォルトで使用
④カメラの前に調整光を配置
⑤テストレンダリングから調整光の明るさ調整
まずは視点の登録を行っていきます。それからデフォルト光源などの自動配置がなされますが、用途に合わせて使用光源と不使用光源とに分けていきます。照明器具の光源設定数値には、デフォルトのままで使用し、補助光源には天井からの明かりを十分に確保することとして、デフォルトのまま使用していきます。調整光には、照明器具の個数や視点などで変化がありますので、テストレンダリングを見ながら増減を行っていきましょう。光源設定が終了したところで、テストレンダリングで画像の確認を行います。そこで問題などがなければ、レンダリングの本番となります。そうした過程を経て、内観パースが完成します。
金額の違いで変わるパース図面のポイント
建築パース図面は、対象住宅の大きさや複雑さなどによって変動があります。また、その建物が戸建であるのかアパートであるのか、あるいはマンションであるのかといったことなどによっても変動します。それに必要な手間や時間が変わるためです。また、図面に存在しない家具などの配置によっても、金額が変わります。
一般的に、提案用であったり、プレゼンテーションに使用するパース図面であれば、低価格になり、平面図や立体図、配置図等の図面をCADデータによって提供することが可能ば場合も、低価格で済みます。一方で、広告や3Dモデリングなどに使用するレンダリングなどには、高精細なデータが必要であるので、金額が上昇するでしょう。また、印刷図面の提供の際にも、データの作成や入力といった業務が必要となるため、金額の上昇プラス納期も長くかかります。
戸建て住宅などのプレゼンテーション用であったり、提案用パースのときには、1点約4万円からとなり、オフィスや店舗等の内観パースでは、照明器具や家具の素材が増加するので、1点約5万円からとなります。その一方、広告用などの内観パースでは、提案用やプレゼンテーション用の内観パースと比べ、その金額は、2倍程度にまで上がります。
要するに、一般住宅の内観パースで1点約8万円程度からであって、内観パースで1点約10万円から、そして大規模建築の内観パースにおいては、1点約20万円からとなるわけです。ホテルや商業施設などの大規模建築物については、1点約10万円からとなり、大規模建築においては、内観パースの方が外観パースよりも低価格で済むというメリットがあります。
また、視点や光源設定を変更するような内観パースを追加作成する際に、1点あたりの追加費用は、もとの費用の約80%ほどになります。
提案がスムーズに進む内観パースの抑えるポイント
提案をスムーズに行うための内観パースには、下記の3つの点が重要となります。
①短納期で低価格であることを内観パースでアピール
②分かりやすく美しい内観パースで打ち合わせ
③図面制作は綿密に
内観パースは、専門のパース制作会社へと依頼を行うことが必要です。その際に、低価格で依頼可能であって、短い納期で仕上げるといった大きなポイントがあれば、積極的に宣伝をしていきましょう。打ち合わせには、出来るだけ綺麗な内観パースを作成し、きちんとした説得力のある説明をしていくと、理解が得られやすい傾向にあります。納期や見積もりに合意が出来た段階で、業務へと移っていきます。
内観パースの金額や納期は、その住宅に必要なパース数や素材、大きさなどに左右されます。安価な金額で、早めの納期で仕上げるためには、明確に記された図面をCADデータとして渡し、使用用途や視点の指定等、それらの仕様を全て明らかにする必要があります。また、内観パースの作成ですが、施主によっては、手書きで依頼をしたいといった場合もありますので、そういった依頼を受けた際には、細かい書き込みを行うことも可能な手書きの内観パースを作成していきましょう。
施主が内観パースを見たときに、どこか1つだけでも見入ってしまうようなポイントさえあれば、その後の打ち合わせも着々と進む可能性が高いです。打ち合わせのような早期の時点で、完成予想のイメージのしやすい内観パースほど、その後の展開もスムーズに導いてくれるでしょう。内観パースとは、その住宅の内部全てを詰め込んだ資料であるといっても過言ではありません。それだけ大切なパースであるため、内観パースは出来るだけ綺麗に、そして綿密に制作を行っていくことが重要です。