建築パースとは
「パース」は「Perspective Drawing(透視図)」の略で、
住宅などの構造物の外観や内部を一定の図法で立体的に表現した図です。
パースは建築に限らず橋梁や施設などさまざまな構造物について使われ、
建築物で使うものを「建築パース」と呼びます。
建築物の外観や内部あるいは周辺を立体的に表現することによって、
建築物の全体像や内部のイメージを誰もが容易に把握することができます。
建築物の設計図や間取り図は平面的な図面であり、
一般の人ではきちんと完成状態をイメージすることは困難です。
そこで建築パースを使用することによって、建築物の外観や、
周辺環境との関係そして各室内の完成状態を直感的に把握できるようになります。
CGパースとの違い
「CGパース」は、コンピュータソフトウェアによって
平面的な図から作成したパースを指していて、対象は建築物に限りません。
大規模なものでは山や川を含んだ地形や、街並み、駅の構造から、競技場などの公共施設や住宅、
そして小規模なものでは工業製品や美術品などについても作成します。
建築物を対象とした建築パースではCGパースが主流ですが、
建築物の設計過程あるいは用途によっては手書きで作成することもあります。
CGパースではきちんとした図面さえあれば、
視点の変更や内部の照明や壁の素材設定などの作業を簡単におこなうことができます。
また設計変更が生じた場合でも、その変更を簡単に建築パースに反映することができるので、
変更結果の確認などクライアントとの打ち合わせなどを迅速におこなうことが可能です。
建築パースの使用用途
建築パースを作成する目的は、デザインの検討、プレゼンテーション、そして販促などです。
デザイン検討については、エンドクライアントを対象とした場合と社内での検討を対象とした場合があります。
一般の住宅などでは多くの場合、エンドクライアントは建築についての専門知識を持ち合わせていません。
そのような場合建築パースを活用することによって、実際の使い勝手や居住環境が容易にイメージできるようになります。
一方社内でのデザイン検討では、設計図を使って建築パースを作成することによって、
平面図である設計図では確認が難しい空間的な確認や作業工程の問題点を洗い出すことが容易になります。
コンペや設計コンセプトのプレゼンテーションなどでは、多くの場合建築の専門家が対象になります。
そのような場合には建築パースによって設計コンセプトが明確に視覚化され、
対象者にデザインコンセプトをより明解に訴求することができます。
建築パースのもう1つ重要な用途が販促マテリアルです。
新築の不動産広告では完成予想図は不可欠です。
魅力的なパースを広告に掲載することによって、ターゲット層への訴求効果が大きく向上します。
既存建築物の販促についても、室内に家具などを配置した実際の居住状態の建築パースを作成することによって、
何もない室内を下見するよりも居住状態を容易にイメージすることができるようになります。
建築パースの種類
建築パースはいつも同じものではなく視覚化するポイントによって、
建築物の外観や内部構造や室内もしくは周辺環境などの種類があります。
また作成の手法によって手書きやCG、そして実際の写真を使った合成などの種類があり、
目的と工程によって最適なものを選択して作成します。
■手書きパース
「手書きパース」は、その名の通り手書きで作成した建築パースです。
CGパースが一般的になるまではこちらが主流でしたが、
作成は1枚1枚手作業で作成するので時間と手間がかかります。
一方手書きの場合には設計データが必要ないので、
詳細が決まっていない状態でも作成することができるという利点があります。
また決まっていない部分をぼかして作成することもできるので、
設計の初期段階で建築物全体のイメージを伝えるのに適しています。
水彩やパステルなど手法を変えることによって全く異なるイメージの建築パースを作成することができ、
手書き特有の柔らかいイメージに仕上がります。
CGパースの無機質な印象に対して温かみを感じさせることができます。